きこえてきたこと

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『ニュー・シネマ・パラダイス』 忘れていたことを思い出させてくれる

 

  『ニュー・シネマ・パラダイス』といえば主人公のトトの顔。印象的な目でとてもかわいい。

 やっぱりアルフレードの映画のような気もする。トトを愛し見守る存在として、ああ、わたしにもこんな人がいたらいいのに。親でもない、友達でもない。でも親のようであり、親友でもある。

 トトは映画監督としての成功と愛を探してさまようこととの狭間にいながら歳をとっていく。アルフレードが最期にトトに送ったフィルム。一緒に映画館でフイルムを回していた時に戻し、エレナを愛していた頃に戻し、心をときめかせたキスシーンでトトの心を抱きしめて溶かしているようだった。

 そうね。人を愛する瞬間、ふれあう瞬間、その結果がどうであれその瞬間はかけがえのない歓びの中にいるのだわ。それを性欲と片付けてしまうのはちがう。確かにある瞬間、互いの何かが混じり合う。絶対にわかり合えることのない他人同士が交わすのはなんだろう。

 神父さんにより「禁じられるべき」ものだったキスシーン。最期はキスという行為を超えたところにあるものをわたしは欲しているのだわということを思い出させてくれた。この映画を見たらキスしたくなるね。