きこえてきたこと

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『内なる宇宙』ジェイムズ・P・ホーガン

内なる宇宙』ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫

 帰ってきたハンターとダンチェッカー、そしてガニメアン!第四弾がでていた。

 

 実は上巻を読み始めたところ、著者ホーガン氏の「魅力的な女性描写」がちょっと何だかなあという感じで、さらにスピード感がなかったために期待薄。かなり薄でスタートしたのであった。

 テューリアンとジェブレン人の相容れない人種的傾向のはなしかと思いきや、ストーリーは熱狂的に宗教に走るジェブレン人とその奥に隠された世界・・・。

 前半からは予想できない展開。ジェブレン人がジェヴェックスにこだわる理由に気がついたのは、自らの心の中を深くまでウェザーに見せることを許した女性ふたりだったというのがすごい。そして地球人の宗教観をきちんと反映させながらもハントやダンチェッカーの視点からみてストーリーが進むところも見所だった。

 上巻に続いて、緊張感のある場面の連続で始まる。ここでようやくもう一つの「世界」とジェベックスがつながる。ワープの原理とか、異世界に行く原理がなんとなくわかるけど、そういうのはありなのだろうかと基礎知識のないわたしは思ってしまうのだけど、見ようによってはまだまだ先があるような終りだった。

 違う世界に生まれたいという願望。それはこちらの世界からしたら甚だ迷惑なことでもあるが、ウェザーは「それは禁止してはいけないことだ」と判断する。すごい。なんかウェザーがすごい。わたしの方が「それでいいと思っているのか」と確認されるみたい。ただのSFじゃない。科学的な生活における宗教、「人工生命」について考えさせられた。

 それにしてもホーガン氏の大団円は、あまりに大団円すぎてどうなのだろうという気がする。

 

前作はこちら。

earthlydesires.hatenablog.com

 

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