きこえてきたこと

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『最高の人生の見つけ方』 どう死ぬか

 

 余命6ヶ月の老人ふたりが、お金はたっぷり時間はもうない状況で、死ぬ前にやりたいこと(棺桶リスト)をひとつひとつ実現していくという話。

 実はわたし、この映画の高評価の意味がちょっとわからない。ジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンの演技力はすごい。特にバーの女性からヒマラヤ山頂の様子を聞くカーターの目の光、これは素晴らしい演技だと思う。自分が見たくても見られなかったものを見た人がそれを目に浮かぶように語ってくれている瞬間の顔。

 

 エドワードが金持ちであるが故に棺桶リストはお金によってどんどん消化されていく。最後はそれだけじゃなくて、カーターは愛する家族の元へ戻ること、エドワードは娘との和解をもって心安らかな死を迎えるというストーリー。

 ストーリーの中でいいなと思ったのは、棺桶リストでカーターが挙げたところをエドワードが実行しているというところ。ここはお互いが溶け合っているような、一緒になっているような不思議な感じを醸し出していた。

 うーん。きれいすぎる。そしてわたしにはなんの救いもない。ある程度お金があれば望みが叶えられて、最後に家族がいたらそれでOKってことなの?それぞれの人が「思い残すことなく」死を迎えることがいいとされているのだろうけど、現実はそうだろうか。最後を描写しないで想像に任せる的なところがわたしには雑に感じてしまった。となるとこれは死と向き合うことを人に考えさせる映画と言うよりは、「家族がいれば大丈夫」を若干想起させる陳腐なストーリーに思えて仕方ない。

 わたしはこんな死に方は出来ないと思うし目指したいとも思わない。

 まあでもわたしが少数派なんだろうと思う。ものすごく高評価だから。というか、これ『スタント・バイ・ミー』のロブ・ライナーなのか。うーん。もっとなんかあっていい気がする。

 

↓これはよかった。

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