きこえてきたこと

哲学、読書、文学、宗教、映画、日々のこと。

2025年10月15日の日記

『おらおらひとりでいぐも』

70代のいろいろおぼつかなくなった女性の頭の中のあふれ出る言葉の本。

Audibleで読んでいて、とても切なさで胸がいっぱいになりつつもなんだか元気がもらえる。多分女性だからかな。

夫と早くに死別して、こどもともうまく行ってない。家は片づけられない。頭の中ではいろんな自分がやかましく会話している。

わたしがその年齢にさしかかることがあったら、こんなに自分のことを見つめられるだろうか。

さみしいことを受け止めていく。そこになぜか居心地のよいなにかが生まれる。

読み終わったらどんなことを思うかな。エンディングまであと少し。

 

『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈

 前作が面白かったので読んだんだけど、こちらもあっという間に読み終わってしまった。

 成瀬と関わるのが面倒かもと思っている人間がどんどん巻き込まれていく様子が凄く面白い。

 観光大使の相方となった子の心の変化がすごくよかった。わたしも今この瞬間からでも自分の思うように生きていいんだと気づかされる物語だった。

 ほんとシリーズ化してほしい。

 

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日記を続けようと思う

『つげ義春日記』つげ義春 講談社文芸文庫

本当に日記だった。本の数行、その日にあったことの自分の気持ちを書き留めている。

子どもが産まれ、妻が癌にになり、自らが神経症に悩まされる。

読んでいる方は、なんだか他人の日記をのぞき見している感じだったのだけど、後半のメンタルを病んでいる様はわたしは自分と被っちゃって入り込んでしまった。

だいぶんこのブログも放置していたのだけど、それは目の前のことに一生懸命になってしまい、自分のことを振り返ったり、それを書き留めたりする余裕がなかったから。

最近思うのは、わたしって自分はこうありたいというものと現実のギャップが全然埋まらないことに対して自己認識が薄かったなと。埋まらないもんは埋まらないんだ。

この本を読んで、やっぱり埋まらないことを踏まえて、いっこいっこ目の前のことをかたづけていくことが必要だなと感じた。そしてそれを書き留めることで、そうやって一日を過ごした自分を自認する。いっこいっこ。

ということで、できるだけ日記を書いていこうと思う。数行でも。

その日生きた自分を確認するために。

 

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『四畳半神話大系 四畳半シリーズ 』森見 登美彦

『四畳半神話大系 四畳半シリーズ 』森見 登美彦  角川文庫

 

面白かった!

 

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これを読んでいたので期待値大で望んだ。

邯鄲の夢の話なんだよ。第二話であれ?と思って、ああ、そういうこと?になる。

ネタバレになるから書かないけど、面白い。

登場人物が生き生きしている。そして人生の選択により変わっていくことがあるのだ…。

自分の人生の選択について、今日のお昼に食べたパン、職場の面談で思いきったことをいう、帰り道を変えてみる。全部自分が選んで来たことだと思っている。でも本当にそうなんだろうか。

とにかく没頭して読みたい人におすすめ。重いことも軽いこともない。

 

 

『ハンチバック』市川 沙央

 

 芥川賞かつKindle Unlimitedだったので何気なく読んでみた。

 とても感想がいえない。判断ができない。判断って、自分で良いとか悪いとかを考えること。その前提にあると思っていた常識、あるべき倫理観みたいなものが全部引きちぎられている様な状態なのだ。ひっくり返ったのではない。治りかけの傷口のかさぶたを剥がされたような感じ。

 人によっては痛いと思うし、見た感じ気持ち悪いとも思うし、なんとも言えない快感を感じる人もいる…というような。

 わたしは障害者の方の本当の視点や苦しみや願いを知ることはできない。あくまで想像しかできない。でもこの本にはそれが赤裸裸に書いてあり、追体験できるのだけど想像とのズレにヒヤッとするのだけど、そのズレだって、障害者とわたしのずれじゃなくて、たんなる他人とわたしのズレかもしれないということを思う。そう。他人の中味を知ることって、こういうことなのかもしれない。

 わたしがこうだろうと予想していることなんて全然違っている、わたしだけが思っているだけの見方しかしていないんだろう。

 

 他人に薦めるかといわれたら、薦めはしないけど、既視感で安心感を確かめながら読み進めていく読書に飽きたなら一度読んでみたら?とはいえそう。

 

『ハーモニー』伊藤計劃

 

 『虐殺器官』に続いてこちらも。健康が全て管理された世界。生きる、老いる苦しみがとてもとても縮小されている。その価値観に驚かされる。

 身体に悪いことを取り締まり、心が乱されればすぐにカウンセリングプログラムを受ける。うーん。これ、実は遠い未来じゃないかも。なんかそんな気がする。

 人の死への向き合い方、それを選択できない。価値観だよなあ。これ。今生きている世界の価値観をがくんがくんに揺さぶりに来ている。その中で安全に生きるということが保証された世界でそれが突き崩されることで一層「死」というものをどう捉えるか、命といってもいいな。それを浮き上がらせてくる感じがする。人間の底の部分をガタガタいわすやつだ。

 こんなすごい作品を書かれた方が早逝されたのは本当に残念。

『虐殺器官』伊藤計劃

『虐殺器官』伊藤計劃 ハヤカワ文庫JA

スーッと読もうと思ったらスーッと読めてしまう。SFなのだけど、人間としての自分を主人公が見つめて行く様が自分に重なっていってしまう物語。

暗殺を行う特殊部隊の一員である主人公の環境がどっぷりSFなわけだけれど、そこには訓練や投薬やカウンセリングで変えられていってしまう自分を見つめる自分がずっと存在する。その視点がすごい。

なぜ人間は戦争をするのかということを考えた。

勧められて読んだのだけど、読後感もすごい。エンディングはそうきたかと思った。

 

一年の最初に読み終わったのがこれってどうなの???ともおもったけど、地震やらなんやらで大変だった正月を思えばちょうど良いのかもしれない。