『NHK「100分de名著」ブックス 柳田国男 遠野物語 』
石田正巳 NHKブックス
高校の現代国語の教科書で読んだ事がある。
Kindle Unlimitedで100分de名著の方を読んで、原典も読んでみる気になった。
100分de名著の方を先に読んで原典を読むと、とてもわかりやすいと思う。
柳田国男とこの話をしてくれる佐々木氏との出会い、出版の経緯なども興味深い。
著者が知ってる人から聞いた話。その友人の知らない人の話じゃない。辿ったら親戚だったりもするそんな身近なところである非科学的な物語。えー、そんなことあるー?という「物語」。オチのない話もある。でもきっとそこにいる人たちにとっては本当なんだろう。
独自の神様、山の神、座敷童、そういったものに敬意を持つということが共同体の共通の戒の様になっていたのかな。そこから出来る連帯性。
獣と同じ立場で向き合う猟師。アイヌと思われる名残。民族的に面白い事もたくさんあるけれど、やはり閉ざされた共同体の中での世界感がとても興味をそそられる。
現代においては、「そういうおはなしなんだね」で終わってしまいそうだけど、わたしの幼い頃を思い出すと、似たようなことは田舎にもあった。ひとびとの噂話。あそこの湖にね・・・。とかそういうの。ぼんやり、ふんわり、人の中で共有される話。
それが山の神や狐、熊、猿の妖怪のような者から、はっきりとした人間がこわいのに変わった様な気がする。なんでもはっきりすることが出来る現代。
それでもわからない人間って、こわいねぇ。