きこえてきたこと

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『この世界の片隅に』 漫画で読んだ

 以前に映画のレビューを書いた『この世界の片隅に』だけど、Kindle Unlimitedに原作の漫画があったので読んでみた。

 

earthlydesires.hatenablog.com

 

  映画の方が本当に原作のイメージを損なうことなく映像化されたのだなというのがよくわかった。白木りんと周作のエピソードは省かれていたけど(映画の完全版では追加らしい)、それがなくても世界観はきちんと伝わった。

 上巻の幼い頃のすずの描写は映画の方が家族とのつながりがより伝わっていたような気がする。

 中巻の晴美ちゃん件のあとのところも映像の方がよかったかも。ただ、日常生活の描写は漫画の方が柔らかくていいかな。

 下巻のところのすずの慟哭はやはり映像かな。

 あとすごくおもったのが、すず役の声優ののんさんがすごくいいんだ。まったくアニメや声優に興味ないけど、これは声がいいんだなと思った。

 

 戦時を生きた人々、原爆を生き抜いた人たちの話だけれど暗くない。常に人は生きる方向を向いている。辛くても生きていく。生き残った者は生きていく。人間の立ち上がる姿をみせられる。私たちはそういう生き物なんだろうな。愛する人が死んでも、わたしは生きるのだろう。強いね。人間って。

 こういう本で戦争を考えるというのもこれからの世代にはいいのかもしれない。わたしと戦争。その間に常識や通説や大義名分も、なにものも挟まないで。

 Kindle Unlimitedで読めるのでこれはおすすめ。