きこえてきたこと

哲学、読書、文学、宗教、映画、日々のこと。

『街と、その不確かな壁』村上春樹

 

 村上春樹を順番に読んでいこうシリーズ 26

 前知識なく読み始めたら、「あれ?『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』じゃない???」となった。もちろんそんな焼き直しではなかった。

 あとがきを読んで経緯を理解した。元々は『世界の終り…』の前に中編小説のような形で世に出ていたらしいが本として出版はされていなかったそうだ。この小説を書き上げることができると40年経って思われたらしい。

 夢読み、壁の中の世界、影…。現実と想念の中にある世界が交錯して一つに集約していく。なんというかずっと村上春樹氏の作品を連続して読んでいて思ったのが、すっきりした解決があるわけではないけれど、なにか最後に向かってすぅぅっと一点に突き進んでいく感じがする。

 これで最新刊まで読み終えた。小説のみだけど。発刊タイトル26、文庫本ベースで39冊。よく読んだなあ。

 一人の作家の作品を発表順に読んでいくということをやってみたけど、本当に村上氏の変化を感じながら、時間を共にしながら読んだ気がする。ことばはやはり対話なんだな。素晴らしい読書経験だった。

 

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