『中国行きのスロウ・ボート』村上春樹 中公文庫
村上春樹を順番に読んでいこうシリーズ 5
こちらは紙の本。Kindleがないのだ。短編集。
なんだかスッキリしない、出口のない後味だった。近寄りたいし近寄れそうだけど、なんだか違うというようなちぐはぐさ。当時の中国という国に対する説明できない雰囲気が村上春樹的に料理されたというところかな。
「貧乏な叔母さんの話」
不思議系ストーリー。主人公から離れた貧乏な叔母さんは、帽子を弟から取り返して叱られた女の子の側にいるのかな。貧乏な叔母さんじゃなくなって。
「ニューヨーク炭鉱の悲劇」
ずっと死のモチーフ。死がつきまとっている。最期の段落は差し迫った死。
「カンガルー通信」
なんだかほのぼのしているけど、大分危ない人だな(笑)
「午後の最後の芝生」
雰囲気がすごく素敵。芝刈りを丁寧にやる主人公の気持ちがなんだかわかる。その丁寧さに惹かれる人たちが来るのも。なにごともそういうことだよな。
「土の中の彼女の小さな犬」
死の匂いって消えないんだろうか。
「シドニーのグリーン・ストリート」
おお!羊男だ!世界中にいるのか・・・。
異なるテーマの短編だが、村上ワールドを満喫できる。
昨日とある図書館にいって、家にあるこの本を見つけて続きを全部読み終わった。図書館っていいよね。
女子高校生ふたりが小さな声で「これぜんぶできない」「あーなんかのみたい」と課題をやっている。新聞を置いてある全紙確かめているおじいさん。わたしの斜め前でずっと静かに本を読んでいるおばあさん。絵本を抱えながらなぜかわたしの前にきて「Hello!」という3才ぐらいの女の子。…日本人ですけど。お父さんが後ろから「すみませんすみません」って走ってきた。
みんな静かに、本を読んでいる。それぞれの時間が流れている。本を読んでハッと顔を上げたら周りにいた人がちょっとずつ変わっている。
図書館と同じ建物にカフェがあった。コーヒーを飲みたいと思ったけど、メニューを見て宇治金時練乳かき氷に決定。今年初のかき氷をおいしく食べた。むかし、おじいちゃんとおばあちゃんの家にかき氷を作る機械あったな。なつかしいな。