きこえてきたこと

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『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹

ダンス・ダンス・ダンス村上春樹 講談社文庫

 村上春樹を順番に読んでいこうシリーズ 4

 『羊』&『鼠』の世界観の長編はこれで終了。

 最終的に「羊」のいる世界と半分解けて居るような主人公の世界を現実に引き戻す運動を見せられているような感じだった。

 それは同時にいま「休んでいる」わたしの状態とリンクして、そろそろわたしも現実に戻らなくちゃと思いながら、これこそが現実であるともひやりと感じさせられるようななんとも言えない感覚に陥る。

 主人公の世界の中ではひとつひとつの食事や音楽、五感に触れるものが独特の比喩でもってとても繊細に描かれているけれど、現実になると大きな世界からみた自分の生活の視座に変わるような気がした。どっちが好き?っていわれたら主人公の世界を見ている方が好きなんだと思ってしまうわ。そんな表現するんだ!という感性。昔はとても気どって見えるときもあったけど、いまのわたしにはあなたはそうなのねという気持ちで読むことが出来た。なんでだろ。

 羊男は、虚無の中で現実との世界を繋ぐ存在のようだけど、これって結局主人公の中のものなんじゃないかな。こんな一見自分の世界を確立して自分を大事にしている主人公は自分の一人称の語りだと読んでいる側はかっこよく見えるんだけど、リアルなものが羊男が現わしているのかなと思ったり。

 面白くて一気読みした。

 6番目の白骨が気になるなあ。

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